水質に敏感なレッドビーシュリンプ。
水合わせにはどの程度の時間をかければよいのでしょう?
ネットやYouTubeを調べると「水合わせ時間3時間」「夜通し水合わせ」など様々な体験談が出てきます。
時間をかければかけるほど良いのか?それとも適した時間があるのか?
当記事ではこのような水合わせに関する疑問を徹底的に解説していきます。
当記事は専門店に聞いたお話と筆者が実際に行っている水合わせの方法に基づき記載しております。
レッドビーシュリンプの水合わせにかかる時間
レッドビーシュリンプの水合わせ時間は点滴法で約30分〜1時間30分ほどです。
水合わせの時間に幅があるのは、水槽の水とエビが入っている袋の水の水質次第で水合わせ時間を変更するためです。
点滴法とは?
水槽より低い位置にエビを入れた容器を置き、エアチューブを用いてサイフォンの原理で1滴ずつ水槽の水を容器に入れていく方法です。
筆者も初めての頃は慎重に3時間〜4時間かけて水合わせをした経験があります。
実際のところプロはどのように考えているのかを知りたくなり、2店舗のエビ専門店にお話を聞いてみました。
お話を伺った専門店2店舗では1時間程度で十分との回答でした。
専門店にお話を聞いてからは、筆者も1時間程度を目安として何十回も水合わせを行っています。
今のところ特に調子を崩すようなことはありません。
水合わせ時間の判断ポイント
判断のポイントについては大きく分けて2つあります。
ポイント
- 水槽とエビの入った袋の水質差
- 水合わせ中のエビの状態
判断ポイント① 水槽とエビの入った袋の水質差
水槽とエビの入った袋の「PH・TDS・水温」の差が大きい場合はしっかりと時間を掛けて水合わせをしましょう。
2〜3時間で水合わせ完了✨
袋の水が中性のTDS94
水槽が弱酸性のTDS135今回もTDSが水槽の水から±5になるまで水合わせしました(*´꒳`*)
pHもほぼ水槽と同じになっていることを確認。いざ水槽へお迎えです🦐
水合わせ前に飛び出し事故があったので不安ですが大丈夫そうです😊 pic.twitter.com/7mGp3vGKmK
— 水と草 (@Aquatic_Grass) October 18, 2020
このツイートをした頃はまだ慣れておらずかなりの時間をかけていました。。。
TDSとは?
TDSとはTotal Dissolved Solids(総溶解固形物)の略で、水中に溶けてイオン化する電解質の量を表しています。
水の中に溶けてイオン化する物質の例としてはカルシウムやマグネシウムなどがあげられます。
エビ水槽の水作り、TDSについて詳しく知りたい方は「RO水は必須!?レッドビーシュリンプに最適な飼育水とは?」をご確認ください。
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RO水は必須!?レッドビーシュリンプに最適な飼育水とは?
レッドビーシュリンプを安定して飼育・繁殖させるためには飼育水の水質が非常に重要です。そして、その元となる水質は現在住んでいる地域の水道水により様々なのです。 特に気にせず安定して飼育・繁殖出来る地域も ...
判断ポイント② 水合わせ中のエビの状態
水合わせを開始後、エビが急激に暴れだしたり、水面に集まるような状態は危険な状態です。
一度水合わせを中断し、水槽内の水質を確認しましょう。
チェックポイント
- 亜硝酸塩が検出されていないか?
- PHが低すぎないか?
- 水温が高すぎないか?
- 殺虫剤成分が混入していないか?
殺虫剤成分については、家族に直近で殺虫剤を使用していないかを確認しましょう。
これらに問題がなければ、エアレーションをしっかりと行いながら水合わせを再開してください。
エビがバタつく場合はゆっくりと水滴を落としましょう。
水合わせに長時間かけることはエビに問題はないのか?
水合わせの目的はエビに緩やかに水槽の水質に慣れてもらうためです。
水合わせ中に水温の変化が少ない状態で、きちんとエアレーションをしていれば長時間かけても問題はありません。
初めてで心配な場合は、納得するまで時間をかけて水合わせをしても大丈夫です。
レッドビーシュリンプの水合わせに必要な用品
必要な用品
- 100均のプラケース(800ml〜1L程度のもの)
- エアポンプ
- エアチューブ
- 一方コック
- エアストーン(小)
- 50mlスポイト
- 洗濯バサミ
水合わせ用品① 100均のプラケース
1L前後の容量の透明なプラスチックケースを選びましょう。
水合わせ用品② エアポンプ
プラケース内でエアレーションを行うために使います。
静音性の高い水作の水心シリーズがおすすめです。
既に水槽で使用しているエアポンプから分岐させてもOKです。
水合わせ用品③ エアチューブ
エアチューブは3本用意してください。
1本目と2本目はエアレーションに使用します。
間に一方コックを挟みエア量を調整するために2本用意してください。
3本目は水を点滴法で落とすために使用します。
水合わせ用品④ 一方コック
一方コックは2個用意します。
1個目はエアレーションの量を調整するために使用します。
2個目は水を滴下する時に、水が落ちる速度を調整するために使用ます。
自宅に分岐コックしかない場合は、分岐コックでも代用できます。
水合わせ用品⑤ エアストーン(小)
エアレーションで使用します。
どんなものでもOKです。
水合わせ用品⑥ 50mlスポイト
水合わせの際にプラケースに貯まった水を抜くために使用します。
スポイト何ない場合は、プラケースより小さいカップなどを使って水を抜くこともできます。
水合わせ用品⑦ 洗濯バサミ
水槽内にプラケースを設置するために使用します。
大きめの洗濯バサミである程度力が強いものが良いです。
レッドビーシュリンプの水合わせ手順
今回お伝えする水合わせの手順は、温度合わせも同時に行います。
全体の流れとしては以下のとおりです。
水合わせ手順
- 水槽とエビの入った袋の水質の事前測定
- 用品のセッティング
- 水質の測定と水合わせ完了の判断
- エビの導入
STEP① 水槽とエビの入った袋の水質の事前測定
エビと袋の水をプラケースに移します。
この時、袋の水はプラケースの60%ほど入れたらOKです。
余った袋の水で、pHとTDSを測定します。
ポイント
TDSについては差があっても特に気にする必要はありません。
STEP② 用品のセッティング
用品の設置については以下の図のとおりです。
用品のセッティングについて
- プラケースを水槽内に洗濯バサミで固定する
- エアレーションをセットする
- 点滴用チューブをセットする
この時、サイフォンの原理で水を滴下していくので、プラケースの水位が水槽の水位よりも下に来るようにセッティングをしましょう。
エアレーションの量については強すぎないように片方コックで調整をしてください。
水合わせ中の処理について
水合わせを開始後、プラケース内の水が80%ほどまで増えたら、大きめのスポイトなどで適宜水を抜きます。
水はプラケースの30%の水位になるまで抜いてOKです。
水槽の水とプラケースの水の水質が近づくまでこの処理を繰り返します。
メモ
滴下の速度については、はじめは1秒に2滴ぐらいのペースになるように設定してください。
水抜き後の2周目以降はエビの調子を見ながら(エビが暴れていなければ)徐々に滴下の速度を早めてもらってOKです。
最終的にはチョロチョロと流れるほどの速度になります。
STEP③ 水質測定と水合わせ完了の判断
水槽の水とプラケースの水の水質がどの程度近づいたか、TDSとpHを測定することで確認します。
TDSの測定
TDSはTDS測定器を測りたい水に入れるだけで10秒ほどで測れます。
簡単に測れるので、水合わせ中の水質はTDSを目安に確認します。
注意
稀に水槽の水とエビの入った袋の水のTDSがほぼ同じ数値の場合があります。
この場合は、TDSではなくpHを測定して水質が近づいたか確認しましょう。
pHの測定
水槽とプラケースのTDSが±10以内になったら一度pHを測定しましょう。
水槽とプラケースのpHが同じぐらいまで近づいたら水合わせ完了です。
pH差がまだある場合は水合わせを継続してください。
※pHを完全に一致させる必要はありません。
(完全に一致させるためには何十Lもの水が必要なので現実的ではありません。)
水槽と袋の水質がほぼ同じ場合の対応
ごく稀に水槽とエビの入った袋の水がほぼ同じ場合があります。
この場合は、30分ほど水合わせをしてエビの様子を観察後、水槽にエビを入れましょう。
STEP④ エビの導入
水質が近づいたらエビを導入していきます。
導入のポイントは2つあります。
ポイント
- 初めに1匹だけ入れて様子を見る
- エビは網で掬って水槽に入れる
初めに1匹だけ入れて様子を見る
エビを導入の際は一気に入れず、少しずつ入れていきましょう。
水槽内のエビの動きを観察する事で、このままエビを導入して問題無いかを確認します。
エビは網で掬って水槽に入れる
プラナリアやミズゲジ、ヒドラなどの害虫の混入を防ぐために、網でエビだけ掬って入れましょう。
目に見えなくても、エビの入った飼育水にはこれらの害虫の卵や幼体が潜んでいる可能性があります。
網で掬う程度の時間で有れば水から出してもレッドビーシュリンプに影響はありません。
まとめ
この記事でお伝えしたいポイントを以下にまとめています。
水合わせを行う前に是非確認しておきましょう!
ポイント
- レッドビーシュリンプの水合わせにかかる時間は30分〜1時間30分ほど
- 水合わせの進行度合いはTDSとPHを定期的に測定する
- 水槽とプラケースのTDSとPHがあるていど同じに慣れば水合わせ完了
- 害虫の混入を防ぐためにエビは網で掬うこと