レッドビーシュリンプ水槽を飼育していると、ある日、突然白濁りしたことはありませんか?
すぐに治る場合も有れば、1ヶ月以上白濁りが続く場合もあります。
今回はエビ水槽の白濁りについて、原因、対策、予防の3つの視点で詳しく説明していきます。
レッドビーシュリンプ水槽が白濁りする原因
原因は大きく分けると3つです。
- 目に見えるゴミやソイルのカスが舞っている
- 水槽内のバクテリアのバランスが崩れている
- 植物プランクトンの大量発生
原因①目に見えるゴミやソイルのカスが舞っている
ソイルを弄ったり、スポンジフィルターを水槽内で触ると一時的にゴミが舞い白く濁ります。
このケースは数時間も経過すれば直ぐに透明に戻りますので全く気にする必要はありません。
数時間経過しても濁りが収まらない場合はソイルやフィルターを弄ったことによりバクテリアのバランスが崩れた可能性を疑いましょう。
また、エビの活性が高く、元気にツマツマしている場合もカスを巻き上げてぼんやりと濁ることがあります。(これは嬉しい悲鳴ですね)
原因②水槽内のバクテリアのバランスが崩れている
原因の中で最も多く、最も厄介なのが、バクテリアバランスの崩れです。対処を間違えると大切なエビちゃんを☆にしてしまう可能性があります。
こちらについてはシチュエーションごとに少し掘り下げて説明していきます。
よくある白濁するシチュエーションは次の4つです。
- 立ち上げ初期
- 底床ソイルやフィルターをいじる
- 餌を与えすぎる、足しソイルをする
- 水槽内に手を入れる
これらのシチュエーションでは「有益なバクテリアが減る」もしくは「悪いバクテリアが増える」ことによりバランスが崩れます。
立ち上げから1年以上経過したような、水の安定した水槽では多少のことでは白濁りは起こりません。しかし、立ち上げから期間が経っていない水槽ではちょっとしたことで影響が出てしまいます。
1.立ち上げ初期
水ができ上がるまでの期間は、白く濁ったり、透明になったりと不安定です。特に栄養系ソイルで立ち上げた場合は顕著です。
水が出来上がるまでの流れは次のとおりです。
ソイルの有機物が有機物分解菌によってアンモニアに変化し、アンモニアは硝化バクテリアの働きで、亜硝酸塩→硝酸塩に変化して弱毒化されます。
この過程でこれらの「有益なバクテリア」たちがその他バクテリアと領土争いを繰り広げることで白く濁ります。
そして、有益なバクテリアが水槽内を支配した段階で水が透き通る…そんなイメージです。
栄養系ソイルの場合は落ち着くまでに最低1ヶ月程度かかります。この間に水換えは控えましょう。
せっかく天下統一の目前だったにも関わらず、水と共にバクテリアたちが流れて再スタートとなってしまうかもしれません。
多くの場合、立ち上げ初期は白濁りと透明な状態が交互に訪れます。安定するまで気長に待つことがポイントです。
メモ
栄養系ソイルを使用し、1センチ程度の厚さで水槽を立ち上げると2週間ほどで一度水が透明になることが多いです。その後、1ヶ月前後でまた白濁しだすケースが多々見られます。
初心者の方は最低1ヶ月は水槽の様子を見守っていただくことをおすすめします。
立ち上げに関する詳しい記事は「コレだけでOK!失敗しないレッドビーシュリンプ水槽の立ち上げ方」をご参照ください。
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コレだけでOK!失敗しないレッドビーシュリンプ水槽の立ち上げ方
レッドビーシュリンプの飼育を開始しようと思いネットを調べてみると…水槽の大きさ、ソイルや濾過フィルターの組み合わせ、水草の選択など組み合わせが無数にあります。 一般に、レッドビーシュリンプの飼育が難し ...
2.底床ソイルやフィルターを弄る
底床ソイルを弄ったり、スポンジフィルターを洗ったり(揉んだり)した場合は、一時的に白濁りします。
理由は簡単です。それまでソイルやフィルターに陣取っていたバクテリアたちの数が減ってしまうからです。
今まで水槽内を支配していた有益なバクテリアが減少すると、息を潜めていた別のバクテリアが水槽内を支配しようとします。バクテリア同士の喧嘩の始まりです。
喧嘩で負けたバクテリアの死骸が白濁となって水槽内に現れてきます。
有益なバクテリアが水槽内を支配するまで喧嘩は続きますので、長い場合は1ヶ月以上も白濁が続くことになります。
…ということで、立ち上げから半年以上経ち、水がよっぽど安定した状態でない限りは、「底床やフィルター弄り」と「水換え」は同時に行わないように注意しましょう。
メモ
水槽内の有益なバクテリアは大きく分けて2種類。有機物分解菌と硝化菌があります。
有機物分解菌とは、有機物を餌とするバクテリアの総称で様々な種類がいます。…というか、ほとんどの最近が有機物を餌として繁殖します。
つまりほとんどの菌は有機物分解菌なのです。アクアリウムにおいて「有機物分解菌」と言われるのは、その中の水質に有益な菌を指していると思われます。
有機物分解菌のうち良い菌と悪い菌が喧嘩し、常に良い菌で水槽内が満たされている状況が理想です。
この有機物分解菌を定期的に補充し、優勢にしてあげれば…安定が待っているかも?です。
3.餌を与えすぎる・足しソイルをする
エビに対して餌の量が多すぎる場合や、足しソイルをした場合は一時的に水槽内の有機物濃度が高まります。
通常は有機物分解菌がこれらを分解するのですが、分解が追いつかずに水槽内に有機物が残ってしまう場合があります。
有機物が残ってしまうと、水質に悪影響を与える悪いバクテリアも増殖してしまいます。
そうすると、有益なバクテリアと悪いバクテリアが喧嘩をして結果的に白濁が発生してしまいます。
有機物とは?
有機物とは炭素原子を含む化合物の総称です(一酸化炭素など一部の気体は除外)
具体的には、生体の細胞、水草、枯れ葉、ソイル、餌などすべて有機物に該当します。
これらは好気条件下で有機物分解菌の働きにより、水・二酸化炭素・アンモニアに分解されます。
皆様もよく耳にする粉系のバクテリア剤…これもある意味有機物です。
調子を崩したから、白濁したからといって水槽にたくさん投入していると逆効果かもしれません。ご注意ください。
4.水槽内に手を入れる
水槽のメンテナンスの際によく行いがちな行為が「水槽内に手を入れる」です。
手には様々な雑菌が付着しています。そのまま入れてしまうと、水槽内のバクテリアたちにとっては緊急事態になります。
悪いバクテリアが水槽内に入ることによりバクテリア同士の喧嘩が起こり、結果的に白濁に繋がります。ですので、水槽内に手を入れる場合は十分に流水で手を洗いましょう。
もちろん。石鹸で手を洗ってから水槽に手を入れるのはNGです。洗い残しの洗剤により水槽内の有益なバクテリアを殺してしまう可能性があります。また、薬剤に敏感なエビちゃんにも直接的な影響が出ます。
水が出来上がっている水槽の場合は多少手を入れても問題ないケースがほとんどですが、筆者はできる限り水槽内に手を入れないほうが良いと考えております。
原因③植物プランクトンの大量発生
植物プランクトンの大量発生は立ち上げ初期に起こる場合があります。
照明が強いまたは照明の時間が長い場合に水がどんどん緑色になっていきます。(メダカ飼育では一般的なグリーンウォーターです。)
バクテリアのバランスが整った後はめったに発生しません。もし発生した場合はしばらく遮光して様子を見ましょう。
グリーンウォーターでもエビは飼育できますが、ソイルの栄養がグリーンウォーターに持っていかれてしまい、稚エビの歩留まりが悪くなるイメージです。
稚エビや抱卵個体がいる場合は別水槽に移したほうが良いと思います。
レッドビーシュリンプ水槽が白濁りした場合の対策
先に結論をお伝えします。白濁の原因と対策は以下のとおりです。
原因 | 対策 |
原因1 目に見えるゴミやソイルのカスが舞っている | フィルターを回し数時間待つ |
原因2 水槽内のバクテリアバランスの崩れ | 有機物を控えてバクテリアが繁殖するのを待つ・バクテリアを補充する |
原因3 植物プランクトンの大量発生 | 数日〜数週間遮光する |
原因1に関しては記載の対策でほぼ解決しますので、細かな説明は省略します。
原因3については数週間の遮光で様子見し、改善が見られない場合はリセットをおすすめします。(エビを鑑賞するための水槽なのにエビが見えなくなりますから…)
今回は原因2「水槽内のバクテリアバランスの崩れ」により白濁した水槽への対処法を深堀りして解説していきます。
対策は人それぞれですので、ここでは筆者自身の実体験に基づく対策を記載いたします。
ポイント
- STEP1:換水せずに放置
- STEP2:1/3ほど換水しバクテリア剤を投与
- STEP3:濾過を強化する
STEP1:換水せずに放置
前述した通り、白濁はバクテリア同士が喧嘩することにより発生します。ですので、喧嘩に決着がつくまで観察しながら放置するというのが初期対応となります。
エビちゃんが入っていない場合は濁りが治まるまで放置し続けましょう。不用意に大量換水してしまうと有益なバクテリアの数も減少してしまいます。
立ち上げからバクテリアが安定するまでの期間は1ヶ月〜3ヶ月ほどです。
すでにレッドビーシュリンプが水槽内に入っている場合もエビの様子が問題なければそのまま換水せずに放置しておいて構いません。
また、ツマツマと元気そうにしており、餌を入れると直ぐに集まる場合は通常より餌を減らし、様子を見て頂いて構いません。
物陰に隠れていたり、ツマツマが遅い場合は別の水槽に移す必要があります。また、稚エビがいる場合は歩留まりが悪くなる可能性があるので要注意です。
2週間経っても白濁が改善しない場合、別水槽がない方は状況に応じてSTEP2の対応に移ってください。
調子の良い水槽が別にある場合はそちらの飼育水やソイルを白濁している水槽に入れてもOKです。うまくいくとバクテリアのバランスが整い白濁が早く解消します。
注意
粉系のバクテリア剤は基本生きたバクテリアではありません。白濁を解消するどころか、悪化する可能性がありますので注意が必要です。
STEP2:1/3ほど換水しバクテリア剤を投与
エビが入っている場合で、2〜3週間ほど経過しても白濁が改善しなければ大量換水(水量の1/3〜1/4の換水)とバクテリアの投入をセットで行います。
これを行うことによって、水槽内のバクテリアバランスを意図的に変えて、「有益なバクテリア」を増やし優勢にします。
バクテリア剤は様々なメーカーやシュリンプ専門店から発売されていますが、筆者が信頼しているバクテリア剤はバイコム1択です。
理由は、硝化菌と有機物分解菌が別容器で管理されている点、1mlに含まれるバクテリアの数が明記されている点など、他のメーカーでは曖昧な部分が明らかになっているためです。さらに、筆者が使用した感覚としても効果実感が高いためです。
バイコム以外でも対応できる場合もあります。もし、他に絶好調のエビ水槽をお持ちの方はその水槽の飼育水やソイルを少量入れることで代用出来ます。
STEP3:濾過を強化する
最後に濾過フィルターを追加することで白濁を解消する事もできます。
簡易的なもので構いません。スポンジフィルターやロカボーイなどの小さいもので十分です。
バクテリアの定着場所を増やすことが白濁防止に役立ちます。
Twitterの記事ですが、水作エイトコアも効果的なようです。
レッドビーシュリンプ水槽の白濁り予防
最後に、立ち上がった後に白濁を発生させないための予防策について解説します。
白濁を発生させない…つまりバクテリアのバランスを崩さないように維持することが最大のポイントとなります。
具体的には以下の4点です。
ポイント
- フィルターや底床掃除と換水を同時に行わない
- ソイルの厚さを一定以上にする
- 手を水槽内に入れない
- 定期的に液体バクテリア剤を加える
予防①フィルター・底床掃除と換水を同時に行わない
フィルターや底床を掃除するとバクテリアが水中に放出されます。このタイミングで換水を行うとかなりの量のバクテリアが水槽外に出てしまいます。
フィルター掃除や底床掃除は必要なメンテナンスですので定期的に行うことは大切です。ですが、その際は数日間をあけてから換水を行うようにしましょう。
予防②ソイルの厚さを一定以上にする
バクテリアの住処としてフィルターに次いでソイルも非常に重要です。薄敷水槽でソイル厚が1cm未満の場合はバクテリアの定着場所が少なくなり、ちょっとした変化で白濁してしまいます。
筆者も過去白濁に悩まされていました。その時のソイル厚は約5mm。現在、ソイル厚を最低1センチ以上にすることでほとんど白濁しなくなりました。
薄敷で白濁に悩んでいる方はソイルの厚さを少し集めに敷いてみましょう。
予防③手を水槽内に入れない
「水槽内に手を入れない」これは非常に重要です。
流水で洗っただけでは手に付着した菌を完全に落とすことが出来ません。また、石鹸はエビやバクテリアの影響が懸念されるため水槽に手を入れる前には使用出来ません。
ではどうするかというと、100均一のポリエチレン手袋、ビニール袋、ピンセット大を用いて水槽内の作業を行います。
筆者の場合は一切水槽内に直接手を入れません。手を入れなくなってからは安定した水槽が突然白濁することがなくなりました。
予防④定期的に液体バクテリア剤を加える
常に有益なバクテリアを優勢にするために定期的にバクテリア剤を添加する方法もあります。
筆者は一時「バイコム21」を週1回添加していました。
水槽が安定していること、コスト面を踏まえて現在はバイコムの週1添加は行っていませんが、
代わりに有機物分解菌の一種であるPSB(光合成細菌)を水槽内に投与しております。
もともとは生まれたての稚エビの餌としてPSBを与えていたのですが、その水槽の水の状態が安定しており良かったためその他の水槽にもついでに入れるようになりました。
頻度は45センチ水槽に毎日2〜3ml程度です。
まとめ
ポイント
◆白濁の主な原因はバクテリアバランスの崩れ
◆白濁の対策は次の③つ
- 換水せずに放置
- 1/3ほど換水しバクテリア剤を投与
- 濾過を強化する
◆白濁の予防方法は次の④つ
- フィルターや底床掃除と換水を同時に行わない
- ソイルの厚さを一定以上にする
- 手を水槽内に入れない
- 定期的に液体バクテリア剤を加える