レッドビーシュリンプを飼育していて、抱卵はするけどなかなか殖えない…。稚エビがいつのまにか消えている。そんな経験をしたことはありませんか?
そんな稚エビの悩みに関して、webや SNSでは様々な情報が飛び交っています。餓死?水の汚れ?ミネラル不足?考えれば考えるほど、何が原因かわからなくなってしまいます。
そんな稚エビの生存率でお悩みの方に向けて、当記事では稚エビが消える原因から具体的な対処の仕方まで詳しく解説していきます。
諦めるのはまだ早いです!稚エビの生存率を上げてシュリンプライフを豊かなものにしましょう!
【原因】稚エビはなぜ消える?
稚エビが消える。育たない。これは餓死が原因と言われています。実際のところはどうなんでしょうか?
筆者の経験およびシュリンプ専門店に伺った話をもとに一つ一つ原因を掘り下げていきます。
①微生物(餌)の問題
ネット、SNSはもとより、シュリンプショップやブリーダーの方々もよく言われている稚エビの餌問題です。
筆者自身の経験と照らしても、餌(微生物)が最も重要な要素と考えています。餌が無ければ稚エビは餓死して消えます。
稚エビの餌とは?
稚エビの餌とは何か?について先に説明します。稚エビ用に開発された粉餌のことではありません。
粉餌を入れても稚エビが消える水槽は変わらず消えます。逆に稚エビの餌が豊富な水槽は粉餌を与えなくてもどんどん成長していきます。
稚エビの餌とは目に見えないほど小さな微生物(ワムシなど)のことです。
微生物というとケンミジンコやカイミジンコが思い浮かびますが、これらは餌にはなりません。むしろ稚エビと餌を奪い合う競争相手です。
生まれたばかりの稚エビは3㎜ほどの小さな個体です。大人のように人工餌をしっかりと食べれるわけではありません。稚エビは常に微生物を食べていないと餓死してしまいます。
人工餌は水槽内に入れたその時しか稚エビの餌にはなりません。稚エビは常に何かを食べ続けなければ死んでしまうため、粉餌で稚エビを育てようとすると、粉餌を食べ切れる分だけ常に与え続ける必要があります。
そんなことは現実には不可能です。
稚エビを消さないためには微生物をどれだけしっかりと繁殖させられるか?それを維持できるか?がポイントとなります。
まとめると、以下の通りです。
- 稚エビの餌は人工餌ではない!
- 稚エビの餌は水槽から湧いてくる微生物!
この認識がとても、とても大切です。
稚エビの餌(微生物)の確認方法
稚エビの餌がしっかり湧いているかどうかを確認するためには「ケンミジンコ」の量と動きを見ます。
ケンミジンコは1㎜ほどの小さな微生物です。丸い頭にヒョロヒョロとした尻尾がついたおたまじゃくしのような見た目をしています。(ケンミジンコの抱卵個体は尻尾の付け根に2つの卵の塊を抱えています。)
これらケンミジンコは稚エビと同じ餌(微生物)を食べます。
そのため、稚エビの餌が豊富な水槽ではケンミジンコがたくさん湧き、ガラス面をチョロチョロと動き回っています。もちろん抱卵しているケンミジンコもたくさん見られます。
このような状態を確認できれば稚エビの餌は豊富といえます。
②血統の問題
稚エビの餌(微生物)がたくさん湧き、一見良さそうな水槽でも稚エビが消えることがあります。
この場合考えられるのはエビの血統自体が弱っている可能性です。
もちろん餌は豊富だけど水質が原因で稚エビが死ぬこともありますので、簡単に血統のせいにするのは得策ではありません…。
血統の問題_判断ポイント
前提として、複数の血統を飼育している場合となりますが、一年以上飼育しても特定の品種や血統だけ増えにくい場合はおそらく血統の可能性が高いです。
何本か水槽を立ち上げていると、中には恐ろしく稚エビの生存率が高い水槽が出来ることがあります。このような水槽に入れると通常はどんどん増えていくのですが、血統に問題がある場合はそれでも増えません。(稚エビが消えます)
- 長期間飼育しても殖えない
- 特定の血統だけ殖えない
品種自体の問題も
ここまでは血統の問題を解説してきましたが、品種でも生命力や繁殖力に違いがあります。
一般的には以下の通りです。
(強い)レッドビーシュリンプ>タイガービー>フィッシュボーン(弱い)
ただし、ブリーダーの累代管理により血統の強さはかわりますので、あくまでも参考程度に考えてください。
累代によって虚弱や繁殖力低下の遺伝子が蓄積するという所謂「血の詰まり」が注目されていますが、累代には逆の側面もあります。ブリーダーが長年適切な管理を行うことで、悪い遺伝子を排除し繁殖力を高めることもできます。
③水質の問題
「水作り」…エビ飼育における基本であり最も重要な項目です。
水作りがおろそかな場合は、稚エビの餌(微生物)が沢山湧いていても、血統に問題なくても稚エビは残りません。さらには親エビの調子も下降してしまいます。
- PHの問題
- TDSの問題
- 硬度の問題
ここでは最低限必要な水作りについて簡単に解説していきます。
①PHの問題
調子が悪い時、稚エビが残らない時、初心者の方が気にされる事が多い数値がPHかと思います。
レッドビーシュリンプ飼育には弱酸性が良いとされているため当然です。ですが、近年のレッドビー飼育においてはソイルを使うためPHについてはそれほど気にする必要はありません。
ソイルはイオン交換効果により、水質を弱酸性側に保つ効果があります。(ただし、長期間同じソイルを使用していると徐々にイオン交換効果は薄れてきます。)
立ち上げ数ヶ月程度の場合は、PHは問題ないことがほとんどです。
ソイルの量、水道水のPHによりどの程度水槽内のPHが下がるかが決まります。ソイルの厚さ5㎜未満の超薄敷についてはあまりPHを下げる効果は期待できません。
ところで、なぜ水質が弱酸性がいいと言われるかご存じですか?
理由は「アンモニア」です。
水槽内では餌や糞などの有機物がバクテリアの力により分解されアンモニアになります。アンモニアは亜硝酸塩→硝酸塩を経て段階的に無害化されていきます。
アンモニアが最も有害なのですが、弱酸性下ではアンモニアは無害なアンモニウムイオンに変換されて存在しています。
そのため、バクテリアが十分に定着していない水槽でも弱酸性にしておけばエビに致命的なダメージを与えることはありません。
水道水のPHは中性から弱アルカリ性ですが、少量の換水、ゆっくりと換水することでエビへのダメージは最小限に抑えられます。
色々と述べましたが、ソイル飼育下でPHが原因で稚エビが残らないということはほぼありません。
PHを上げたい、下げたいと思い添加剤などを入れ始めると失敗する可能性が上がりますので十分にご注意ください。
②TDSの問題
TDSとはTotal Dissolved Solids(総溶解固形物)の略で、水中に溶けてイオン化する電解質の量を表しています。
水道水に含まれている不純物の量の目安にもなりますし、硬度(カルシウムやマグネシウムの量)の目安にもなります。
筆者はこのTDSを把握・管理することがエビの飼育水作りにおいて最重要と考えています。
TDSを一度も測らずにエビを増やし続けることは不可能なのではないかと思うほど大切です。
エビは環境の変化に弱いため、常に一定のミネラル分が入った水にする必要があります。ミネラル剤を添加する際にTDSを測定しながら常に一定の量になるように調整してあげる必要があります。
ただし、稚エビが残らない原因がミネラル不足と決めつけるのもよろしくありません。
ミネラルは最低限の量を保つ必要はありますが、後から沢山入れても稚エビの生存率は上がりません。逆に水槽環境が急変し状況が悪化することもあります。
③硬度の問題
硬度とはカルシウム、マグネシウムの量を表しています。
最低限の必要なミネラル分があれば問題ありません。そして、環境変化を避けるため一定の数値を維持する必要があります。
硬度が0の場合は脱皮不全などで稚エビの育成に支障をきたします。
硬度4°前後が最適と言われています。
稚エビが残らないからといってやみくもに硬度をあげるのはNGです。あらかじめ硬度を一定に調整した水で換水や足し水を行いましょう。
硬度を毎回測るのが大変なので通常はTDS測定器を活用してミネラルを添加します。
【対策】稚エビが残る水槽環境の作り方
稚エビが残る環境作りについて次の4つの要素を中心に解説していきます。
- ソイル
- 水
- 人工餌
- 換水
先ほどの稚エビが残らない原因のところで記載しましたが、稚エビが残らない一番の原因は水槽内の微生物不足による餓死です。
いかにして「稚エビの餌となる微生物を増やすか」という視点で解説していきます。
①ソイルの見直し
ソイルの役割としては次の3つが挙げられます。
- 栄養(肥料成分)
- PH下降効果
- バクテリアの定着場所
PH下降効果やバクテリアの定着場所としての役割はどのソイルも似たり寄ったりです。
ソイル見直で重視していただきたいのは「栄養(肥料成分)」の量になります。
栄養量からソイルを選択する
稚エビを繁殖させるためにはできる限り栄養が沢山含まれたソイルを選択することが重要です。
ソイルから出るアンモニアが分解され亜硝酸塩→硝酸塩となり藻類や植物プランクトンの餌になります。植物プランクトンが増えると、それらを餌とする動物プランクトン、微生物が増えます。つまり「稚エビの餌となる微生物」がたくさんの水槽になります。
オススメの栄養系ソイル
筆者がおすすめする栄養系ソイルは以下の通りです。
- アマゾニア(ADA)
- メイキングミネラルソイル(水草工房)
- 黒ぶる(ブルカンパニー)
それぞれの製品において粒の大きさにはノーマルやパウダーがありますが、エビ飼育用途ならどちらでも問題無しです。好みで選びましょう。
◆アマゾニア
ADA(アクアデザインアマノ)が販売している栄養豊富なソイルです。エビを増やしやすいソイルとして、昔から多くのブリーダーに愛用されています。
メリットはエビを増やしやすい事ですが、デメリットも存在します。
デメリットの一つ目は、入手しにくい点です。ADA特約店のみの取り扱いで、ネット販売もありません。また、採取地の関係で製造量が少なく、欠品が多い事でも有名です。
デメリット2つ目は価格が高い点です。一般のソイルに比べて1.5倍ほどの価格設定となっています。
その他にも製造時期によりソイルの栄養量にばらつきがある点も気になるポイントです。 また、昔に比べると今のアマゾニアは栄養量が少なくソイル寿命も短くなってきています。
…とはいえ「エビを増やしやすいソイル」であることは間違いありませんので、筆者もメインで愛用しています。
◆メイキングミネラルソイル
水草工房が製造している栄養豊富なソイルです。これを使ってエビをたくさん増やしている方も多数おられます。
ソイルセット後、注水後すぐに栄養分が沢山放出される傾向があります。(初期すぐに白濁りします。)
デメリットはソイルの粒が柔らかい点です。指で潰すとすぐに砂?泥のように細かくなります。
ソイルを長く使っているとソイルの粒子が徐々に潰れて汚泥のような形で水槽の底に溜まります。大量に溜まると水も空気も通りにくい嫌気域が発生し、悪い菌が生まれてきます。
この特徴を踏まえてソイルを使用する必要があります。
厚敷底面フィルターの場合は若干扱いが難しいですが、底床掃除を定期的にする事で薄敷〜3cm程度であればデメリットが気にならない運用が可能です。
エビも増えますし、ネットでも購入でき、価格も安いのでオススメのソイルです。
筆者は入手しやすさの観点から、アマゾニア→メイキングミネラルソイルに切り替えを検討しています。(今は数本ミネラルで水槽を管理しています)
◆黒ぶる
標準的な栄養量の黒ぶるスタンダード、栄養豊富なワイルドがあります。
メリットはネットで買える点と、安価な価格設定です。品質面では粒が固く、崩れにくいので砂や汚泥が溜まりにくく、厚敷などにも適しています。
スタンダードの栄養量はアマゾニアに比べるとやや少ないかな?と言う印象です。1.5〜2cmぐらいの厚さでエビを飼育していると半年ぐらいでソイルの寿命が来てしまいます。
ソイルの栄養量さえ把握していれば、出荷時期による栄養量のバラツキも少なく割と扱いやすいソイルです。
ソイルの使用期間と稚エビの生存率
筆者がオススメするソイルを使って立ち上げれば基本的に「稚エビの餌となる微生物」が湧き、稚エビがまったく残らないことは無くなると思います。
ただし、立ち上げから時間が経った水槽ではソイルに含まれる栄養が枯渇して、微生物の量も減り稚エビが残りにくくなります。
そこで注意しなければならない点はソイルの使用期間です。ソイルの厚さにより使用期間は変わってきます。
目安は以下の通りです。
- 超薄敷〜1㎝未満→4、5ヶ月前後
- 1〜3㎝→6〜8ヶ月前後
- 4㎝以上→9ヶ月以上
ソイルの種類によっても変わりますが、筆者の経験上およそ上記のようなイメージです。
稚エビの生存率が最も高い時期は立ち上がって環境が整ったすぐのタイミングです。
ソイル厚が1〜3㎝の場合は2〜3ヶ月ごろの水槽が微生物も豊富で稚エビの飼育に最適です。
抱卵→稚エビがハッチアウトする時期に合わせてリセットした水槽を用意するといい感じに稚エビが残せます。
②水作りの見直し
水作りについては飼育水の硬度を一定に保つ事が重要です。
そのためには元水のTDSを測り、ミネラル剤添加後のTDSを測定し、数値的に一定の水を作りましょう。
水槽内のTDSは日々色々な要素で変化しています。水だけ蒸発し水槽内にミネラルが残ります。餌に含まれるミネラルが溶け出すこともあります。そのため調整した水のTDSと飼育水のTDSが若干異なるのは普通です。調整した水より飼育水のTDSがあまりにも高すぎる場合は換水頻度を少し増やしたりして徐々に差を縮めていきましょう。
オススメのミネラル剤
カルシウム、マグネシウムがメインでその他微量元素が含まれているミネラル剤なら基本どのメーカーのものでも良いかと思います。
筆者が現在愛用し自信を持ってオススメできるミネラル剤は「錦えびプロシリーズのパワーバランスミネラル」です。
SMWをミネラル剤と紹介しているサイトもありますが、こちらの商品はカルシウムもマグネシウムもほとんど入っていません。さらにPHを急激に低下させ、エビを刺激するので、初心者には非常に扱いが難しい添加剤です。もし入れるなら5ℓに1滴〜2滴ほどにしておきましょう。
ミネラルの添加量について
エビ飼育における水の調整とは「ミネラルの添加」です。硬度が4前後になるよう調整する必要があります。
硬度を毎回測るのは大変なので、代わりにTDSをつかいます。
事前に「元水のTDS」と「硬度が4前後になる時のTDS」を測っておきます。これを覚えておき、次回以降は硬度が4前後になるTDSになるまでミネラルを添加すればOKです。
元水が高度0の場合、TDSを50ぐらい上げると高度は4前後になるケースが多いです。
TDSを測らず飼育水を調整していると稚エビだけでなく親エビも上手く飼育できない事が多です。エビ飼育を成功させたい方は、ぜひTDS測定器を使用しましょう。
※PH測定器などは無くてもなんとかなります。
③人工餌の見直し
人工餌を与える目的は2つあります。
1つ目はエビ自体に餌を与える目的です。2つ目はエビの餌となる微生物に対して餌を与える目的です。
特に生まれたての稚エビは非常に小さいため、まだ人工餌を十分に食べることができません。水槽内の微生物を食べて成長しています。
稚エビの生存率を高めるための給餌は「稚エビの餌となる微生物」をいかに増やすかという視点で行う必要があります。
オススメの稚エビ用人工餌
「稚エビの餌となる微生物」を増やす効果の高い餌をご紹介します。オススメの形状としては細かな粒子の粉餌または液体のものです。
- アルティメットバクター
- シマテックPSB
アルティメットバクター
非常に細かい粒子の粉餌で、成分としては休眠植物性バクテリア、ポリフェノールなどが入っています。
稚エビ自体が直接食べることもありますが、目的としてはワムシなどの動物性プランクトンを増やすために定期的に水槽に入れます。
水質の維持や浄化作用などを謳っているため、どれだけ入れても良いような印象を受けますが、有機物であることには変わりありません。入れすぎると水は汚れます。
稚エビだけの水槽の場合は耳かき一杯未満を目安に少量から調整していきましょう。
立ち上げですぐの水槽の場合はソイルから出る有機物をもとに微生物が増えますので、粉餌を毎日入れる必要はありません。
エビの動きが活発なら毎日でもいいですが、じっとしていたり、ゆったりしている場合は数日おきに与えてください。
シマテックPSB
エビ飼育者に広く使われているPSB(光合成細菌)です。
え?バクテリア剤?と思われた方もいるかと思いますが、PSBはワムシなどの餌となります。
メダカ飼育においては、生まれたての稚魚の餌(ゾウリムシ)を培養する際にPSBが用いられます。実際に培養すると1日で大量のゾウリムシが繁殖します。
このことからも稚エビの生存率を上げるための微生物の餌としてPSBは非常に有効です。
粉餌と違いあまり水を汚しませんので、毎日与えてもOKです。
稚エビ用の餌があまり必要ないケースも存在します。
栄養豊富なソイルを使い、立ち上がりから比較的新しい水槽の場合は、餌を全く与えなくても稚エビはどんどん成長します。
なぜなら水槽の中に微生物がおり、ソイルの栄養によって微生物の繁殖サイクルが作られているからです。そのような水槽では常に餌が豊富に存在しています。
ただし、ずっと与えないと稚エビの成長と共に微生物の量と稚エビの食べる量が変化して徐々に微生物が減っていきます。エビの動きをよく観察し、活発に動いている場合は徐々に餌を与えていきましょう。
餌寄りが悪ければ餌を中止し、良ければ継続する。これを繰り返すとエビの活性がどんどん上がり稚エビがしっかりと成長していきます。
④換水の見直し
稚エビは比較的環境への適応能力が高いので、有機物濃度が高い水でも割と問題なく生きていけます。(逆に餌不足に弱いですが…。)
そのため、換水に関してはそれほど稚エビの生存率に関係しているわけではないと考えています。
飼育者によっては稚エビが生まれたら換水しない、足し水のみと言う方がおられます。筆者の考えとしては、定期的な換水は続けて頂いた方が良いかと思います。
きちんと環境ができていたら換水しても稚エビが消えるようなことはありませんし、ダメージが入るようなこともありません。
換水には硝酸塩、有機物濃度を下げる効果に加え、カルシウム、マグネシウム、その他の微量元素を補充し水槽環境をリフレッシュする効果が期待できます。
稚エビの生存率を上げるテクニック
ここでは筆者が行なっている稚エビの生存率をあげる方法をご紹介します。
親エビが抱卵し始めたらハッチアウトに向けて準備を始めます。
①親エビと水槽を分ける
筆者が考える最も効果的な方法は「親エビと稚エビの水槽を分ける」方法です。
水槽を分けるだけで稚エビがしっかりと残りますし、成長速度も高まります。デメリットは稚エビ用に水槽がもう一本必要となることでしょうか。
親と子の水槽を分けると生存率が上がる理由
エビは栄養を蓄える事ができないので、常に何かをツマツマと食べていなければなりません。これは親エビも稚エビも同じです。
稚エビをしっかりと残すためには、水槽内にエビの餌となる微生物を沢山増やして維持する必要があります。
親エビと稚エビが一緒の水槽にいると水槽内に湧く微生物の取り合いが発生します。
親エビは体も大きく餌をいっぱい必要とします。親エビの数が多いと、微生物が増える速さより親エビが微生物を食べる量が多くなり、稚エビまで餌が行き渡らなくなります。
微生物の量が減ると稚エビの成長速度が遅くなり、最悪の場合は稚エビが餓死してしまいます。
エビが食べる量以上にソイルの微生物が沢山湧く水槽の場合は親エビと稚エビが同居していても稚エビまで餌(微生物)が行き渡りますので問題ありません。
親エビと稚エビを分けるタイミングは?
稚エビが残らない水槽では成長する前に消えてしまうことが多いですので、別水槽に移すタイミングは産まれて数日後〜で問題ありません。
産まれて数日後の場合は3㎜〜5㎜のため、ちょっとしたことでダメージを受けます。網で掬う場合はゆっくりと丁寧におこなってください。
親エビの水槽と稚エビ水槽を同じ方法で立ち上げた場合は特に水合わせする必要はありません。そのまま掬って稚エビ水槽に移してしまいましょう。
稚エビへの負担を考え、7㎜〜10㎜ほど稚エビが成長しないと移動しないという考え方もありますが、稚エビが残らない水槽はそこまで成長する前に消えるので、稚エビを見つけたらすぐに対応でOKです。筆者の経験上生まれてすぐのちエビを移動してもほぼダメージは入りません。(稚エビを救うときは丁寧に)
②立ち上げ初期の水槽を使う
「ソイルの見直し」のところでも記載しましたが、「稚エビの餌となる微生物」をいかに増やすか?と言う事が稚エビの生存率を高める最大の課題です。
稚エビの生存率が最も高めることができる水槽は立ち上がって環境が整ったすぐのタイミングです。ガラス面とソイルの間を見るとケンミジンコが活発に動き回っているはずです。
稚エビが産まれてすぐに育成水槽に移せるように、事前に水槽を立ち上げておく必要があります。(またはリセットしておく必要があります)
エビが抱卵サイズになったら稚エビ水槽を別で立ち上げておくイメージです。
手間とスペースはかかりますが、どうしても稚エビを残したい血統や品種がある場合は計画的に育成水槽を立ち上げておきましょう。
まとめ
- 稚エビが消える最大の原因は微生物不足
- 稚エビの生存率を飛躍的に高める方法は親エビとの別居
- 稚エビ専用水槽は立ち上げ初期の栄養豊富(微生物豊富)な水槽で!
今回はみんなの悩み…「稚エビの生存率」をテーマにした記事でした。
一人でも多くの飼育者がエビを増やす楽しさ、喜びを味わっていただければ幸いです。